学力向上における意識改革の途中経過報告

2月3月は塾業界における学年切り替えの時期だ。小6、中3の受験が終わり、来年に向けて新しいクラスがスタートしていく。全担当が持ち上がりで担当する場合もあれば、心機一転ガラリと変わることもある。しかし、2月3月は流動的な時期でもある。実のところ、正規の担当が定まるのは4月を迎えてからの場合が多い。塾講師の大半が大学生な故、大学が始まるために塾の授業の開始時間に間に合わないなどの問題が発生するので、そこでまた調整が必要になるからだ。生徒からすれば担当講師がコロコロ変わっていい迷惑である。そんな中でも今月から担当している新小6のクラスは維持できている。3月以降も自分が主体となってクラスを運営していくことになる。

 

第1回の初回授業では、授業時間100分間すべてを費やして生徒の意識改革をしました。具体的な内容を簡潔に説明するとこんな感じになります。

 

「学力」とは「読解力」であり、それを向上させるためには「分析」と「精読」が必要不可欠である。現状、それらが欠如しているので「やっている風」で勉強を終わらせてしまっている。結果、成績が上がらないのも無理はない。そこで、ゼロから生徒の学習に対する意識そのものを変えることが最も効果のある方法だと伝えた。最後にこれまでの学習環境を振り返り、僕と生徒との間にある学習に対するギャップを埋めていく作業をして授業はおしまい。

 

細かく話すと長くなるので詳しくは前述の「学習」という記事をご覧ください。

satoke1996.hatenablog.com

 

さて、今日はその後2週間でどれくらい彼らの意識が変わったのかをご報告します。

 

塾は授業だけで完結ではありません。様々な業務の一端を担うのが授業なだけで、それ以外にも成績管理や宿題管理、回診電話、個別面談やカウンセリングなど、挙げるときりが無いが、全ては成績を上げるために行うものであることに変わりはない。その中で比重が重いものに授業がある。一番生徒と接する時間が長いのも授業だ。故に生徒の成績を上げるのに授業というものが重要になる。しかし、だからと言って授業に全神経を注ぎ込み、その他が疎かになってしまわないように注意を払わなければならない。

 

授業において細心の注意を払うべきことは「何を教えるか」であり、「どのように教えるか」は二の次だと考えている。しかし、いつまでも内容だけに拘ることもできない。徐々に慣れていき、この2つを両立させなければならない。つまり、「何をどのように教えるか」ということを考える。しかしここで注意しなければならないことは、講師の独断でWHATからHOWに移行してしまうと、生徒が置き去りになってしまう可能性がある。下位クラスだとなおさらだ。誰一人として無視はできない。そこで、僕はある程度の期間をWHAT、つまり「何を教えるか」にフォーカスして授業を進めることにしました。しかし、まだ授業に入る前にいろいろと決めておかなければならないことがあるのです。

 

さて、先週までの授業を振り返りましょう。

 

まず僕の授業におけるルールを決めました。ノートは不要、持ち物は筆記用具のみ。テキストは任意。これだけです。塾は学校とは違います。なので国語の授業でノートを取り、復習し、その内容が定期テストに出るというようなことはありません。ノートは勉強をやった気にさせてしまう危険性があります。下位クラスの特徴として、普段勉強していなかった分、少しでも手を動かすとやった気になってしまいがちです。だからノートは使いません。生徒全員が、ウソだろ…。という表情を浮かべていました。それもそのはずです。まあ、それが意識改革の始まりですからもうしばらく驚いてもらいます。

 

国語という科目は大きく分けて2つです。文章読解と知識です。説明的文章(説明文・論説文)と文学的文章(物語・小説)を扱う文章読解。また後程書きますが、これらに関して板書はほとんど必要ありません。文法や詩・短歌・俳句における季語や表現技法、文学史、漢字などを扱う知識。これはあくまでも僕の考え方ですが、ノートを使って教えなければならないのはこれらの中で文法くらいだと思います。それ以外は授業の中で、あるいは自主学習の中で自然と覚えていくものだと思います。細かいことを付け加えるなら、ものによって、例えば文学史のややこしいやつなど、は板書が必要かもしれません。しかし、年に1、2回程度しか出てこないのでさほど気にはならないでしょう。しかもそれ専用のプリントまで用意されているので、あとはひたすら覚えるしかありません。ここは頑張りましょう。

 

また、宿題の提出ですが、これまでは強制的に全員提出というのが当たり前でしたが、これをなくしました。生徒歓喜。ただ、今後一切宿題は見ないというわけではありません。どういう事かというと、宿題の提出を指名制に変更しました。授業の冒頭に単元別の確認テストがあるのですが、その点数によって提出者とそれ以外に分けていきます。今のところうまく機能しています。

 

宿題と連携しているのですが、漢字に関してもターゲットを絞ります。毎週確認テストがあります。僕のクラスは毎回ですが。そこで合格基準に満たすことが出来なかった生徒にはペナルティがあります。ペナルティの内容ですが、間違えた漢字を10回ずつ書くというのがスタンダードです。しかし、僕らのクラスが目指しているのは総合的な学力の向上であり、読解力の向上です。ただ同じ漢字を繰り返し書くだけでは何の意味も有りません。文脈を読み取り、そこから漢字を推測する能力を養うことを目的とした、全文書く漢字練習を取り入れました。これで漢字の意味、どのような文脈で使われているかが理解できます。1問につき10回。5問間違えた時点でペナルティが発生するので、この時点ですでに50行です。これを提出してもらいます。実際に経験した生徒から話を聞きました。もう絶対に間違えない自信があります。それに、漢字の意味や使うシチュエーションを理解できました。という答えが返ってきました。そこそこ成功しているのでこれも継続していきましょう。

 

このようにして僕らのクラスはスタートしました。

僕も彼らも常に頭を使うことを意識して授業に取り組んでいます。ノートは使わないので、前のホワイトボードか僕を見ています。こちらとしても彼らの様子がよく分かるので色々と質問したりできます。僕の質問には答えがありません。テキストに書いてある内容を聞いているわけではないからです。考えて発言。そこに規制はありません。どんどん声に出してもらいます。はじめのうちはほとんどお通夜でしたが、慣れていくと自ら色々考えて発言してくれるので、これが思考力を伸ばすスタートラインだと思って今後も続けていきます。

 

さて、授業内容ですが基本的には読解メインです。もちろんノート不要。では、はじめに書いたように何を教えているのかというとですが、答えはとてもシンプルです。しかし、そこにも思考力を養うための仕組みがあります。

次回は「何を教える」のかについて書くことにしましょう。

本日はこれくらいで、それではまた。